2022年7月18日読了時間: 3分読んだ本つまらぬ日常を美しい絵にするフィルターを持つ『掃除婦のための手引き書』遅ればせながら手に取り、大ファンになってしまった。もちろん岸本佐知子さんの訳が素晴らしいのだけれど、とにかくかっこいいな、ルシア・ベルリン。 わたしはインディアンたちの服が回っている乾燥機を、目をちょっと寄り目にして眺めるのが好きだ。紫やオレンジや赤やピンクが一つに溶け合っ...
2022年6月30日読了時間: 2分読んだ本自分があるようでない人の無邪気な怖さ『火葬人』これは、怖い。後味の悪さがすごい。チェコ人でありながらホロコーストを書いた、ラジスラフ・フクスの『火葬人』だ。子どもの頃、同級生など身近にユダヤ人がいたという。 時代は第二次世界大戦勃発前夜。火葬場に勤めるコップフルキングル氏は、火葬によって魂は早く成仏?できるという信念の...
2022年6月5日読了時間: 2分読んだ本老いて鈍らず神懸るには『書こうとするな、ただ書け ブコウスキー書簡集』近藤康太郎さんから聞いて、読みたくなった本。圧倒された。近藤さんと言ってることが似ている。これから先も、折に触れては開くことになるだろう。 才能があっても耐久力がなかったらそれはとんでもなく恥ずべきことなのだ。居心地のいい罠にはまってしまうということで、褒められて舞い上がる...
2022年5月8日読了時間: 2分読んだ本中澤雄大 著『狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅』生前面識のなかった人が、自分に惚れ込む。その人は10年以上もの時間を費やし、周辺取材と調査を重ねる。そして、自分の人生を600ページ超の評伝にまとめる。 佐藤泰志という作家にはそんなことが起きた。5回も候補に選ばれながら芥川賞を逃し、41歳で自死してしまった不遇の作家。ひと...
2022年5月8日読了時間: 1分読んだ本中村文則 著『何もかも憂鬱な夜に』雨が降るでもなく、でもどんよりと暗く、元気が出ない日に読みたくなるのは中村文則さん。美容室にいる間に読み切った。 施設で育ち、刑務官になった「僕」は、18歳と半年で二人殺した未決囚を担当している。1週間後に迫る期限に、彼は控訴しないつもりでいる。それは死刑の確定を意味す...