2022年5月8日読了時間: 2分読んだ本中澤雄大 著『狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅』生前面識のなかった人が、自分に惚れ込む。その人は10年以上もの時間を費やし、周辺取材と調査を重ねる。そして、自分の人生を600ページ超の評伝にまとめる。 佐藤泰志という作家にはそんなことが起きた。5回も候補に選ばれながら芥川賞を逃し、41歳で自死してしまった不遇の作家。ひと...
2022年2月19日読了時間: 2分読んだ本寮 美千子 著『あふれでたのはやさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』 三砂慶明さんの『千年の読書』で紹介されていて手に取った本。胸を打つ詩が多数出てくるので、ずっと泣きながら読んだ。 最初のページにこうある。受刑者の子たちのこと。 それぞれが、自分を守ろうとして、自分なりの鎧を身につけている。 (略)...
2022年2月2日読了時間: 3分読んだ本#002 『昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃』「あのとき、何してた?」という話題にのぼるような日が、ある。私が生まれるより前の、昭和のそんな一日に「楯の会事件」があるだろう。昭和45年11月25日。 中川右介著『昭和45年11月25日』は、大量の文献引用から一冊を構成する趣向を取る。戯曲『サド侯爵夫人』の形式を借りてい...
2020年7月8日読了時間: 3分読んだ本インテレクチュアルかつ「実」がある:良書の3条件を満たす2020年上半期マイベスト『アロハで猟師、はじめました』2020年上半期のマイベスト。 かっこいい本だ。私が書店員なら、「思想」の棚に置きたい。「アウトドア」棚はサブ扱いにするかな。「狩猟」のイロハを語ったルポかと思ってしまいそうだけれど、そんなありがちな体験記ではないからだ。本書において、著者にとっての「狩猟」とは材料みたいな...