コロナ禍の#ブックカバーチャレンジ。次には回さず自己完結で。
全集より『豊饒の海』四部作を。日本語表現でかなう圧倒的美。
藤はいつも花ざかりで、女たちは日ざしを避けて、藤棚の下に集うた。すると、いつもよりひとしお念入りにお化粧した女たちの白い顔には、花の藤色の影が、優美な死の影のように落ちた。
清顕は自分の頬がひどく熱いので、子供らしく、聡子の頬にも手をあててみて、同じやうに熱いのに満足した。そこにだけ夏があつた。
今、夢を見ていた。又、会うぜ、きっと会う。瀧の下で。
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三島由紀夫『三島由紀夫全集18:春の雪/奔馬』『三島由紀夫全集19:暁の寺/天人五衰』