2020年7月29日読了時間: 4分読んだ本人々が呆気なく事切れる:河南省エイズ村の魔術的リアリズム『丁庄の夢』312ページ、二段組、3,200円である。高いけど、文字量を鑑みればコスパはいい。しかし、読み通させないオーラがバリバリ出てる。だからある程度責任を持って言いたいと思う。 買って損はなし。 特にラテンアメリカ文学ファンの人は。 むしろ買ってください(中国文学だけれども)。...
2020年7月19日読了時間: 2分読んだ本サディスチックが突き抜ける:殺しの緊張の緩和『おれの中の殺し屋』痺れる。舞台はテキサスの田舎町。涼しい顔で殺りまくる保安官助手ルー・フォードのモノローグで展開する。サディストでサイコパス。しかし外ヅラはむしろよく、饒舌でとぼけている。多数、人が死ぬんだが、なぜかカラッとしている。日本のクライムなら、似た殺人鬼像を創ってももっとウェットな...
2020年7月15日読了時間: 3分読んだ本ディスタンスが揺らいでいる:人との適正距離を問う『フライデー・ブラック』2020年4月に初めての緊急事態宣言が発令され、家に篭らざるを得なくなった。それを機に意図的にやったのは「人と距離を取る」ことだった。物理的に人との「密」を避けなくてはならなくなったということもあるけれど、精神的にも人との「密」を避けた。そうすることで、物理的な「密」も自ず...
2020年7月8日読了時間: 3分読んだ本インテレクチュアルかつ「実」がある:良書の3条件を満たす2020年上半期マイベスト『アロハで猟師、はじめました』2020年上半期のマイベスト。 かっこいい本だ。私が書店員なら、「思想」の棚に置きたい。「アウトドア」棚はサブ扱いにするかな。「狩猟」のイロハを語ったルポかと思ってしまいそうだけれど、そんなありがちな体験記ではないからだ。本書において、著者にとっての「狩猟」とは材料みたいな...